入幼児からの肥満予防
「乳幼児」という言い方は世間一般によく言われますし、みなさんもよく耳にされることと思います。ではいつの期間が乳児で、いつの期間が幼児なのでしょう?
だいたい下記のように区分されるようですので、まずは予備知識として知っておいていただけると、今回のお話の理解がスムーズになるかと思います。
<年齢の目安>
- 乳児・・・・1歳未満
- 幼児・・・・1歳~5歳
- 学童期・・・6歳~12歳
以上、いろいろな考え方があると思います。大まかな分類ですが、これに沿ってお話しします。
また、本日は獨協医科大学病院 小児科 有阪 治(ありさか おさむ)氏のお話をもとに、「乳幼児からの肥満予防」のお話をさせていただきます。
まずは図全体を見ていただきたいと思います。
※キョウリンメディカルサプライ株式会社 ドクターサロン編集部 第59巻 第3月号より 引用
日本でも、学童の10%ぐらいが、肥満とされています。アメリカでは、30%が肥満です。
子どもの肥満の一番の問題は、次の2つであることが分かってきました。
- 大人の肥満につながる。
- 子どもの時に肥満になっていると、その後肥満がいったん解消しても、大人になってから肥満になると、心筋梗塞を発症するリスクが高くなる。
ということです。
乳児期から思春期年齢まで肥満に関して追跡調査をした結果によると、小学校に上がる前の3歳から5歳頃までは徐々に体脂肪がついていき、学童の肥満につながるということが分かりました。
肥満のスタートラインは、いつからと考えればいいのでしょうか。なかなかワンポイントを決めるのは難しく、グラフを見ていただくように経時的に見ていくのがベストですが、あえて言えば、それは、乳幼児期です。
日本では、乳幼児期に焦点をあて、その時点から肥満にならないような手立てが必要と考えられてきました。
多くの地方自治体では、1歳6ヶ月、と3歳児の検診があります。そのデータをもとに、MI(Body Mass Index)を割り出したのが、この図です。
※BMIは、体重÷身長÷身長 です。
※BMIはカウプ(KAUP)指数と呼ばれていたものと、同じものです。
乳児期にぶくぶくと太った赤ちゃんも、よちよち歩きをするような1歳を過ぎた幼児期になりますと、運動により、少しスリムになってきます。
それは、皮下脂肪が減るからと言われています。BMIに関しては、普通の場合は乳児期の場合より、幼児期の方が、減ってくることが分かります。
5歳から6歳にかけて筋肉ができてきて、またBMIが上がってくることが分かります。この図の通りです。
将来肥満になるかどうかということは、4歳から5歳ぐらいまでにBMIが上がってくるかどうかということを見極めることが大切であるということが分かってきました。
また、1歳6か月から、3歳にかけてBMIが下がってくることがあることが分かります。これがだいたい8割です。
その逆が、2割ぐらいいます。この2割のゾーンにある子が、将来の肥満のリスクが高くなるということがこの図からも分かると思います
なぜこのような現象が起こるかといいますと・・・・・
- コンビニの進出
- テレビゲームの出現
などによりカロリーの取り過ぎと、運動不足が言われているからです。
1歳6ヶ月の検診、3歳の検診の結果を受け、多くの自治体ではお医者さんや保健師さん、栄養士さんなどが関わった話し合いが持たれております。もちろん、お子さんの将来を見据えてです。
そのような経緯を経て作られているデータです。
お子さんの検診の結果、1歳6ヶ月のBMIより3歳の検診の方がもし高ければ、将来の肥満のリスクが高くなり、いわゆる「メタボ」につながるということになります。要注意だと考えられます。
このようなデータがありますので、ぜひとも、保護者のみなさんにおかれましては、お子さんの肥満は軽視しないでいただきたいのです。
コンビニを過剰な利用していないか、からだを動かさない、テレビの見すぎ、ゲームのやり過ぎはないか、運動不足ではないか、などを中心に普段の生活で、肥満につながるような問題はないか、今一度の点検をお願いしたいと思います。



