ヒトメタニューモウイルス感染症(HMPV)について
5~6年前から、インフルエンザの流行の時期が過ぎたのに、高熱を出し、咳や鼻水の症状のひどいインフルエンザと似た症状の3歳から5歳くらいのお子さんが、よく来院されます。
インフルエンザの検査をしても陰性なので、何が原因なのかよくわかりませんでした。
ただ、3年くらい前からヒトメタニューモウイルスかどうかを調べる迅速なキットが発売され、ウイルスの原因が調べられるようになりました。
感染力は強いようで、3月から5月にかけて保育園や幼稚園で流行する状況が見受けられます。
また、5日以上の高熱が続く場合には、肺炎を併発することが多いようです。
通常のウイルスによる感染症の場合には、大人ならば2~3日で治ります。
お子さんでも4~5日でたいてい解熱します。
しかし、5日以上発熱が続いたら、ヒトメタニューモウイルスではないかと疑ってください。
今のところ、ヒトメタニューモウイルスには、インフルエンザのタミフルのような特効薬はありません。でも、このウイルスに対しては、十分な栄養補給と安静により退治することができます。
お子さんが咳と鼻水がひどく、発熱も長く続くので、心配されるお父さんやお母さんも多いですが、熱が下がってくれば一安心だと思って結構です。
だいたいの目安ですが、38度以上の熱が5日間以上続いた場合には、肺炎ではないかと考えて、入院設備のある総合病院での診察をお勧めします。
4月になり赤尾ファミリークリニックの方でも、いくつかの保育園で流行している様子がうかがえます。
治療は小児科だけでは難しいので、入院して点滴をしてもらい、ゆっくりと休養してもらうのが良いでしょう。
インフルエンザや水ぼうそうのウイルスは治療する薬が存在します。
そこで、どんなウイルスでも薬で治療することができると思っている方も多いようです。
しかし、ウイルスに対する治療薬は長年の研究により、ようやく完成するものなのです。
ヒトメタニューモウイルスには、治療薬はまだありませんが、検査法が見つかっただけでも症状の原因がわかるので大きな前進だといえると思います。
先ほども書きましたが、発熱が長く続くようでしたら、肺炎ではないかと疑ったほうが良いです。
予防法としては、乳幼児のお子さんには難しいですが、手洗いやうがいをしっかりとすることが大切です。



