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パソコンあれこれ

これまで何台パソコンを買ったでしょうか。初めてパソコンに出会ったのは、もう30年ぐらい前になります。医学博士の論文を書くために、統計学で「有意差検定」というものを出さなければなりませんでした。

この「有意差」というものが、とても大事で、例えば、この薬が効いたか効かなかったか調べるには、50人に試したい薬を飲んでいただき、それ以外の50人にはプラセボ(偽薬)をのんでいただき、検査データや、症状をスコアー化して、とても複雑な計算式を使い、「有意差あり」との数値が出れば、多くの人(大体が95%の人)にその薬は有効と判断します。当然、試したい薬や偽薬は多くの人に飲んでもらった方が、データは信頼性が増します。

ただ、電卓でより多くの人のデータを打ち込み、いろいろな計算式を10回ぐらい駆使してやっと出てくるデータを計算するのは大変な作業です。5回目までの計算がうまく行っても、6回目で、最初の入力ミスがわかれば、まさに「いちからやり直し」で、大変な時間がかかりました。

私が最初に出会ったパソコンはN社のものでしたが、入力は電卓と変わらず面倒でしたが、「キーボード」なるものは電卓と違い、大きくて、入力しやすく驚きでした。そして、約10回は必要な計算式をすべてパソコンがやってくれて、データを入力してしまえば、電卓計算の約20倍も早く、「有意差検定」の答えが出ました。これがプログラミングという手法を使っていることはわかりましたが、全く勉強する意欲もなく、こんなに早く解答が出る方が驚きでした。今、人気のNHK、朝の連ドラ「マッサン」と同じように、ついつい広島弁がでて、「うわーこがいにはよう計算できるとはホンマにたまげたでー」と大学のパソコンルームで大声を上げ、東京の人たちから嘲笑を浴びたのが昨日のことのようです。

この時代はパソコン、パーソナル(個人の)コンピューターといえども、個人で買えるコンピューターといえるような値段ではなく、大学でも皆が時間を振り分けして使わせてもらっていました。この時に少しでもプログラミングを勉強しておけば、もっと自由自在にパソコンを操れたかもしれないなーと反省しています。

ただ、データ操作が簡単なだけに「有意差」を出すために、薬の効果が悪かった人をデータ入力しないというようなことも簡単にできるようになりました。パソコンのない時代なら、考えられないことですが、技術の進歩の裏にはそれを悪用する人もいることを忘れてはならないと思う今日この頃です。

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