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インフルエンザの検査について

ここ数年のインフルエンザの診療の発展には目を見張るものがあります。
特に薬物療法では皆様よくご存知の、『タミフル』や『リレンザ』などの抗ウィルス薬がとてもよく効き、
つらい発熱の期間を半減し、関節痛や筋肉痛を信じられないほど軽減してくれます。

ただ検査についてはもう少し発達してもらいたいと思う面もあります。
今は5分間待っているだけで、インフルエンザウィルスの感染の有無、
感染していた場合、それがA型かB型かまでわかるようになっています。

10年前には考えられない進歩で、これ以上贅沢な事は望めないように思いますが、
ただ、インフルエンザウィルスが存在するかどうかは、細い綿棒ですが、
鼻の奥に入れて鼻汁を採取し、それを検体として使用しなければなりません。

これにはかなりの痛みを伴うので、小さなお子さんに綿棒を鼻の中に入れるには本当にかわいそうに思います。
ただ鼻水が出ればそれを検体として使用できますが、3歳以下の小さなお子さんは鼻がかめず、鼻汁を得ることが困難です。
もう少し検体の採取法に進歩があっても良いのではないかと思っています。

インフルエンザは発熱、頭痛、関節痛などで、急激に発症してきます。
大体、何時ごろからか発症したか、小学生以上ならある程度わかると思います。
そして感染すると急激にウィルスが48時間以内に急激に増殖していきます。

しかし皆様ご存知のように、発熱して「インフルエンザにかかったかな。」と思った時に検査をしても、
ウィルスの量が少ないためか、それを検出することができません。

いろいろな方法を使って早期にインフルエンザウィルスの感染を確認する方法を、
多くの会社が研究開発していますが、どうしても発症してから12時間くらい経過して、
検査をして6割から7割の陽性率だと思います。

24時間経てばほぼ9割は検索できると思います。

タミフルなどインフルエンザの増殖を抑える抗ウィルス薬は発症してから48時間以内に使用すると効果的です。
もっと早くウィルスが検出できれば良いのですが、なにぶんウィルスの量が少なくても激烈な症状を表すインフルエンザです。

発症直後の検査が陰性でも、ウィルス薬を使いたくなる例はたくさんありますが、
やはり検査が陰性でありながら薬を使う事はためらわれます。

したがって発症してから24時間して検査するのが最も正確な結果が得られるのですが、
24時間インフルエンザかどうか苦しみながら待たなければいけません。

あまりにもしんどいので発症すぐに検査をしてくださいと言われる患者さんもおられます。
もちろん症状も関節痛や高熱でインフルエンザを疑うものであれば検査をしてみます。
ただ残念ながら先程述べましたように陽性率が極めて低くなります。

この10年でインフルエンザの治療は革命的と言って良いほど変わったと思います。
あともうひとがんばり検査キットの開発が進み発症してすぐに治療に入れるようになれば良いのに、
私はいつも強く思っています。

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