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自律神経失調症について

皆さんは『自律神経失調症』という病名について、聞かれたことがあるかと思います。
そもそも、自律神経とは何でしょうか。ご存知ではない方も多いのではないでしょうか。

自律神経は、”自分”で”律”する”神経”と書きます。
だから、自律神経を、自分の意志で動かせる神経と考えられている方もいるかもしれません。

でもこれは、生まれたときからプログラムされた、意志とは別のところにある神経と考えてもらって結構です。

ここからは少々生物の授業のようになります(笑)。
でも、現代社会を生きる上で非常に大切な基礎知識になりますので、なるべく分かりやすく解説いたします。

自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経で成り立っています。

自分で律するという字面があるので、自分の意志の力でコントロールできると思われる方も多いと感じています。しかし、大事なことなのでもう一度書きますが、実際は、これは生まれたときからプログラムされている神経です。自分の意志で作用させることはできません。

交感神経は、「興奮したときの神経」と思ってもらえればいいかと思います。

例えば、興奮すれば心拍数は早くなり、汗は出てきてなかなか眠りにくくなってきます。
これは自分の意志でコントロールしようと思っても、できませんよね。

副交感神経は、「リラックスしたときの神経」です。こちらは、夜になると眠くなり、心拍数も減少してきます。これも自分の意志ではコントロールすることはできません。

つまり、交感神経と副交感神経はお互いに相反し合う働きがあるのです。

例えるならこの2つの神経は、シーソーのように調和とバランスを取って人間の生活をコントロールしてくれています。どちらが欠けていていても、うまくいきません。

自律神経の大元は、脳の視床下部にあります。
このシーソーの調和が乱れてくると、人間の生活のバランスがくずれ、いろいろ病的な症状が出てきます。

例えば、眠りたいのに眠れないという症状です。これは、心配事などがあったら、交感神経が何かのプログラムを外れて強く作用してしまっており、体全体が緊張に包まれている症状です。

その反対に、日中、活発に行動したいと思いながらも、なぜか無気力になってしまったり、眠くなったりしてしまうようなときが、あるかと思います。これは副交感神経が多く作用しているためだと思われます。

このように、交感神経と副交感神経の調和が取れないと、体にはいろいろな病変が出てくるのです。
症状としては多岐にわたりますが、分かりやすい実例を挙げてみましょう。

それは、めまい、動悸、異常発汗、吐き気、頭痛、微熱などです。その他いろんなものが現れてきます。ところが、いろいろな血液検査や心電図などの精査を行っても何も異常が出てきません。

では、このとき医師はどういう診断をするでしょうか。

実は、自律神経失調症という診断をすることが多くあるのです。
これらの症状は鬱病や神経症などに見られる症状にもよく似ています。

このような不定愁訴(ふていしゅうそ)の患者さんに対し、ネガティブな見解を持っておられる医師の中には、自律神経失調症を「患者さんに病名として納得させる、医師の逃げ道」と考える方も多くいらっしゃいます。

さて、自律神経失調症になってしまうそもそもの原因はなんでしょうか。

それは、もともと人間として、生き物として、プログラムされた生活ができないというところからきていることにあると考えられます。

現代社会においては仕方ないと思いますが、過大なストレスや、日が沈めば眠り、朝日とともに起きるような生活ができればよいのですが、夜型の生活が進み、慢性的な睡眠不足と不規則な生活、女性の方は更年期でホルモンバランスがくずれる、といったときになりやすい症状といえます。

治療としてはまず、医師は病気を引き起こしている要因を探るところから始めます。
なんらかのストレス、不規則な生活があるかを患者さんに尋ねます。そうすると、ほとんどのケースで当てはまっています。

それを修正することができれば簡単なのですが、現代社会においてそのような生活を送ることはままならぬことだと思います。

そこで、次の手立てとして、薬物が出てまいります。
抗不安薬であるデパスやリーゼなどを服薬していただくことも出てくるということになります。

薬物と聞くと、覚醒剤のようなマイナスイメージを持たれる方も多いと思いますが、この2つは様々な症状に対し、心療内科のみならず一般内科・整形外科等でも処方しているものです。医師の処方箋通り服用する限り依存性は少ないと考えていただいてよいと思います。

これらの薬物で不安を和らげ、安眠できて、いらいらしないことは良いことだと思います。漢方薬などもよい効果をもたらすことが多く有ります。

繰り返しになりますが、自律神経失調症は、医者の逃げ道の診断名だという考えもあります。医師が診察して原因が分からなかったら、自律神経失調症と言っていれば、あたらずしも遠からずの部分があります。

医師の診断を受け、1~2週間生活習慣を変えてもらうことで、落ち込んだことが治ったり、症状が改善されれば、それはそれでOKなのです。

ただ、なかなか治らない場合は、やはり鬱病や、神経症などが原因でその不随症状として自律神経失調症と言われる症状が出ていることが多くあります。

症状が1ヶ月以上続く場合は、やはり医師の診察を受けることをお勧めいたします。また、そのような場合は心療内科や、精神科の受診をお勧めいたします。

受診の際に、精神科というとどうも抵抗がある、とか、受診のハードルを高く感じていらっしゃる場合には、まずは心療内科の受診をお勧めします。心療内科は、その名称は違えど、ほとんどは精神科の先生が診察してくださっていますので、精神科よりは気軽に受診していただけると思います。

いずれにせよ、「交感神経=緊張」と「副交感神経=リラックス」は表裏一体のもので、どちらがよくてどちらが悪いということではない、ということはご理解いただけたかと思います。

忙しい現代社会においては、交感神経、副交感神経の2つの作用がバランス良く作動できる環境作り、生活習慣作りがまずは大切だと、言えるかも知れません。神経そのものは直接コントロールできませんが、行動はかなりの部分コントロールできるのでは、ないでしょうか。

是非一度、ご自身の生活を見直していただき、自律神経失調症を予防していきましょう。

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